辞書の使い方


辞書というのはなかなか面白いものです。

「無人島に本を持って行くなら」というようなアンケートを取ると「広◯苑」を入れる人がたまにいます。

当たり前の言葉を辞書で引くとどう説明しているのかな、というのはとても面白いものがあります。

例えば手元の国語辞典で「右」を引いてみると「日の出るほうへ向かったとき、南にあたるほう」と書いてあります。

つまり、東を向いたとき南に当たる方向、ということですね。

なるほど。

まあ、そんな風に暇なときに辞書を引いて楽しむという使い方もあります。

が、それはさておき、です。

最近、高校生の辞書の引き方がおかしいダロ、と思うことがよくあります。

何でもかんでも辞書を引く、それで時間が掛かるものだから、勉強した気になる、という人がいます。

僕は古文を教えているので古文で例を挙げると、例えば文中に、


黄なる地の袈裟着たるが来て…『更級日記』


などと出てきた時に「黄色い生地の袈裟を身につけたのが来て」などと訳す人がいるわけです。

何年くらい前からでしょうか、正確には覚えていません。

最初は「何で素直に『着ている』と訳さないんだろう」とは思いましたが、

「まあ、別に間違いじゃないからいいや」と思っていました。

ただ、しばらく似たようなことが続くうちに、こいつら「着る」の意味を辞書で引いてるな、と気づきました。

「着る」を引いちゃいけない、なんて言いませんけど。

でもですね、普通は引かないと思うんです。

ただ、引いたにしても「ああ、現代語と同じなんだな」って気づけよ!と思うわけです。

だから最近「現代語と同じで意味が通じると思ったら辞書は引くな」と言っています。

本当はそんなこと言いたくないんですけどね。

 

あと、辞書を引くときは意味を予想しながら引け、というのも声を大にして言いたいところです。

まったく想像もつかなければ仕方ないですが、例えば。


こたみはみな世にゆりたるふるき道の者どもなり。『増鏡』


「こたみ」なんて知~らない、ルンルン♪

みたいな感じで辞書を引くのは勘弁してもらいたい。

「こたみ」は「こたび」と響きが似ているなあ、「今回は」くらいの意味だと通じるなあ。

程度の予想をしながら辞書を引いて欲しいと思います。

「ゆりたる」はこれだけだったら仕方ないですかね。

前後の文脈があればもちろん類推できますけど。

ちなみに「許りたる」と書き、「許る」で「認められる」の意味、「たる」は存続・完了の助動詞です。

参考までに、上記の文を通して訳すと、

今回はみな世に認められている、古くから歌の道に身を置いてきた者たちである。

というような意味になります。

辞書も使い方次第で力がついたり、あまり意味がなかったりするのです。

まとめると、


①辞書は引き過ぎない方が良いだろう。
②辞書を引くときは意味を予想しよう。


ということです。

参考にしてもらえたらと思います。

 

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