枕草子~遠近~


『魔法の天使クリィミーマミ』というテレビアニメがありました。

自分が小学生の頃です。

小学生の女の子が、ひょんなことから1年間の期限で魔法の力を手に入れます。

僕が思うに、この作品の魅力は「魔法の力が邪魔」という点にあったと思います。

『クリィミーマミ』論を展開すると長くなるのでやめておきます(笑)

で、その魔法の力を授けてくれたのが、「フェザースター」の妖精(?)です。

フェザースターというのは「どこにでもあってどこにもなく、最も遠くて最も近い所」なんだそうです。

夢の世界、ってことでしょうか。

そんな「近いようで遠く、遠いようで近いもの」に関する『枕草子』の章段です。


【原文】
近うて遠きもの。宮のべの祭。思はぬはらから、親族の仲。
鞍馬のつづらをりといふ道。師走のつごもりの日、睦月のついたちの日のほど。
遠くて近きもの。極楽。舟の道。人の仲。


【現代語訳】
近くて遠いもの。宮のべの祭。親しくない兄弟姉妹や親族との仲。
鞍馬寺のつづら折りという参道。大晦日から元日までの間。
遠くて近いもの。極楽。舟の旅路。人間関係。


「宮のべの祭」というのは一月と十二月の初午の日に行われる祭りだそうです。

12月→1月は近いですが、1月→12月は確かに遠いです。

「つづら折り」はジグザグな道ですから、直線で近く見えても道なりに行くと遠いのですね。

大晦日から元日までの間というのは、一年で最後の行事にあたる「鬼やらひ」の行事が終わってから、

元日を迎えるまでの間が意外と長く感じる、ということだと思います。

ここに関しては、十二月の下旬から一月の上旬、と幅を持たせて解釈することもできるようです。

それにしても「フェザースターが入ってない!」って思ったのはきっと宇宙で僕だけですね。←w

その代わり「極楽」が選抜されています。

極楽というのも最果ての地でありつつ、信仰すると近いものになる、ということで、

夢を忘れなければいつもそばにある、というフェザースターとある意味同じです。(ホントか?)

人間関係については「遠い親戚より近くの他人」という諺に近い感じで挙げられています。

共感できる部分が多い章段ではないでしょうか。

 

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Posted in 古文

2 Responses to 枕草子~遠近~

  1. H先生娘 より:

    はい!はい!高村先生!それって紫のショートカットの女の子が魔法で大人の女になってなんか歌を歌うやつですか?
    あれ?なんか「ミンキーモモ」とイメージが被るんですよねヾ(´ω`=´ω`)ノ

    三宅も小学生のとき見てましたよっww
    あの感じの魔法を使う女の子にはだいたい横に動物か妖精連れてるんですよね♪あれ欲しいんですよ〜♪

    • takamura より:

      お前は…。(笑)
      青い髪の女の子が変身すると紫の髪になるやつです。
      ミンキーモモはもともと魔法が使える人(魔女っ子)、
      クリィミーマミは魔法の力を1年の期限付きで借りた(魔法少女)ので全然違います。
      横にいる猫的なものはポジ(メス/ピンク)とネガ(オス/青)です。
      素人が魔法を使うにあたっての指導者として猫の姿で傍に寄り添っているわけですよ。