株番~米蒔くも~


『株番』は小林一茶の句文集です。

小林一茶は江戸時代後期の俳人で、

小動物を題材にした俳句や滑稽な俳句などが特徴的だと言われます。

小動物の俳句だと、例えば

・雀の子そこのけそこのけ御馬が通る
・猫の子がちょいと押さへる落ち葉かな

なんてのがあります。

雀の子~は有名ですね。

猫の子が~は知名度はイマイチですが、超カワユスな俳句ですよね。

ちなみになっつみぃは「エース君」ていう猫ちゃん飼ってます。

エース君のフルネームは「スペース・エース」(笑)

さて、滑稽な俳句だと、例えば

・僧正が野糞あそばす日傘かな
・夕顔の中から馬の屁玉かな

など。どちらも下品ですな(笑)

僧正が~の方は、単に滑稽というより、権威ある者に対する反発という面も汲み取るべきでしょうね。

それにしても「野糞」に対して尊敬語の「あそばす」を使っている所なんて実に粋です。

「おうおう、僧正様が野糞をなさっておいでだ!」って感じですね(笑)

夕顔の~は、伝統的な美の対象である夕顔を用いつつ、馬のおならを登場させるコントラストが素敵です。

そんな一茶の文章付きの俳句を一つ。


【原文】
布施東海寺に詣でけるに、鶏どものあとを慕ひぬることの不便さに、
門前の家によりて、米一合ばかり買ひて、菫、蒲公英のほとりに散らしけるを、
やがて仲間喧嘩をいく所にも始めたり。
そのうち、梢より鳩、雀ばらばら飛び来たりて、
心静かに喰らひつつ、鶏の来る時、小ばやくもとの梢に逃げさりぬ。
鳩、雀は「蹴合ひの長かれかし」とや思ふらん。
士農工商その外様々のなりはひ、みなかくの通り。

米蒔くも罪ぞよ鶏が蹴合ふぞよ


【語釈】
◯「布施東海寺
千葉県柏市にあるお寺。

◯「蹴合ひの長かれかし」
「長かれ」は形容詞「長し」の命令形。「かし」は念押しの終助詞。「蹴り合いが長くあってくれよ/長引けよ」くらいの意味になる。


俳句の前にある一文でハッとさせられます。

←こんな絵も有名ですよね。

日本史の教科書に載っている日清戦争の風刺絵です。

小競り合いをしている間に第三者から狙われるというのは

「漁夫の利」という諺にある通りで、

よくあることなのだと思います。

国と国との争いのような大事だけじゃなく、

日常にあることです。

そして一茶の言うとおり、どんな仕事でも、そして仕事じゃなくてもあることだと思います。

どんな時も視野を広く持っていたいものですね。

「漁夫の利」の他、「油断大敵」にも通じる教訓を感じます。


【現代語訳】
布施東海寺に参詣した時、鶏どもがあとについてきたことのあわれさに、
門の前の家に寄って、米を一合ほど買って、スミレやタンポポの辺りに蒔いたところ、
すぐに鶏は仲間どうしで喧嘩をあちこちでし始めた。
その間に、梢から鳩や雀がぱらぱらと飛んできて、
落ち着いて米を喰いつつ、鶏が来た時には素早くもとの梢に逃げ去ってしまった。
鳩、雀は「鶏たちの蹴り合いが長く続けよ」と思っているだろうか。
人間界も、士農工商その他様々な仕事にたずさわる、すべての人が同じである。

米蒔くも…〔鶏のためにと思ったが、米を蒔くのも罪なことだよ。その米を奪い合って蹴り合いの喧嘩をしているよ〕

 

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