枕草子~胸がドキドキ~


人それぞれでしょうが、落ち着かず、胸騒ぎが止まらないことはあると思います。

古文ではこの状態を「胸つぶる」と言います。現代語の感覚でも理解できる言葉ですね。

ただ「つぶる」という言葉を使うだけに、恐怖や悲しみなどの方面で使います。

期待を込めてのワクワク感は「心ときめき」と言います。

「心ときめき」で不安を表すこともありますが。

さて、今回は『枕草子』から「胸つぶるるもの」という章段を取り上げます。


【原文】
胸つぶるるもの。競馬見る。元結よる。
親にまれ子にまれ、大方わが大事に思ふ人の心地あしなど言ひて、例ならぬ気色なる。
まして、世の中さわがしなど聞こゆる折は、よろづおぼえず。
また、もの言はぬちごの泣き入りて、乳も飲まず、乳母のいだくにもやまで久しき。
例の所ならぬ所にて、ことにまだいちしるからぬ人の声聞きつけたるはことわり、
こと人などのそのうへなどいふにも、まづこそつぶるれ。
いみじく憎き人のあるをふと見つけたるにもつぶるかし。
とにもかくにも、あやしうつぶれがちなるものは、胸にこそあれ。
よべ来はじめたる人の、今朝けさの文のおそきは、人のためにさへつぶる。
清らにと思ふもの貼りて重し多く置きたる。
遠き田舎に思ふ人置きたる折に、虚言にてゆゆしき事聞きたる。


【語釈】
◯「競馬」読み:くらべうま
二頭の馬を直線の馬場で走らせ、勝敗を争う競技。賀茂神社で行われる「賀茂の競馬」が名高い。

◯「元結」
ここでは、髪を結ぶためのこより。

◯「世の中さわがし」
疫病などで世の中が不穏であること。

◯「いちしるからぬ」
現代語の「いちじるし」と意味は同じ。ただ、平安時代は「し」と清音、さらにク活用をする。


【現代語訳】
胸がドキドキするもの。競馬を見る時。元結いを結うためのこよりをねじる時。
親でも子でも、およそ自分が大事に思う人が「具合が悪い」などと言って、尋常でない様子である時。
まして、世の中が疫病で大変だなどと噂される時などは、頭が真っ白になってしまうわ。
また、ものを言わない乳飲み子が泣いて、乳も飲まず、乳母がだっこしても全然泣き止まない時。
いつもとは違うところで、まだ相手の心をはっきりとは確かめていない人の声を聞きつけた時はもちろん、
他の人なんかが、その人の身の上話などを言う場合なんかも、ほんとうにドキドキするものね。
とにかく、不思議とつぶれがちなものと言ったら、胸よ。
昨夜はじめて訪れた殿方が、翌朝送ってくる手紙が遅いのは、人のことであってもドキドキするわ。
キレイに、と思うものを貼り付けて、重しを多く置いている時。
遠い田舎に大事な人がいる時に、嘘でも縁起の悪いことを耳にした時。


だそうです。

「なるほどね-」「分かる分かる」って感じですか?

こっちはそれどころじゃないんですよ! キ━━ミ゚皿゚;彡━━ッ!

胸つぶるるもの。AKBの総選挙。推しメンの当落線上ギリギリなる時はいふに及ばず・・・

夏海ちゃんに幸あれ!

良い結果が出ますように。(-人-)

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