徒然草~盛親僧都~(2)


~前回のあらすじ~

盛親僧都という変人がいた。芋頭が大好物で、何かにつけて芋頭を食べまくっていましたとさ。

 

そんな愛すべき変人・盛親僧都は今日も大暴れです。


【原文】
この僧都、ある法師を見て、「しろうるり」といふ名をつけたりけり。
「とは何物ぞ」と人の問ひければ、
「さる物を我も知らず。もしあらましかば、この僧の顔に似てん」とぞ言ひける。
この僧都、みめよく、力強く、大食にて、能書、学匠、弁舌、
人にすぐれて、宗の法灯なれば、寺中にも重く思はれたりけれども、世を軽く思ひたるくせ者にて、
よろづ自由にして、大方、人に従ふといふことなし。
出仕して饗膳などにつく時も、皆人の前据ゑわたすを待たず、
我が前に据ゑぬれば、やがてひとりうち食ひて、帰りたければ、ひとりつい立ちて行きけり。
斎、非時も、人に等しく定めて食はず。
我が食ひたき時、夜中にも暁にも食ひて、ねぶたければ、昼もかけ籠もりて、
いかなる大事あれども、人の言ふこと聞き入れず、
目覚めぬれば、幾夜も寝ねず、心を澄ましてうそぶきありきなど、世の常ならぬさまなれども、
人に厭はれず、よろづ許されけり。徳の至れりけるにや。


【語釈】
◯「しろうるり」
なぞ。おそらく、そんな物・そんな言葉はないのだろう。なぜかWikipediaで項目だてされている。

◯「宗の法灯」
「法灯」とは、その宗派の教義に通達している高僧のことをいう。ちなみに、盛親僧都のいる真乗院は仁和寺の系統なので真言宗(御室派)。

◯「斎/非時」読み:とき/ひじ
「斎」は僧が午前中に取る正規の食事。「非時」は本来僧が食事をしてはいけない正午過ぎ(から御前4時ごろまで)に取る食事。

◯「うそぶく」
①口をつぼめて息を吹く、②口笛を吹く、③吠える、④知らないふりをする、⑤詩歌を吟じる、などの意味がある。ここでは⑤。


【現代語訳】
この盛親僧都が、ある法師を見て、「しろうるり」というあだ名をつけていた。
「しろうるりとは何ですか」と人が尋ねたところ、
「そんな物は私も知らん。もしあれば、この僧の顔に似ておろう」と言った。
この僧都は、容姿にすぐれ、力も強く、大食漢で、達筆な面でも、博学な面でも、弁舌の面でも人より優れ、
真言宗の教義に精通した高僧なので、寺の中でも重んじられていたが、世を軽んじているくせ者で、
何事においても自由で、決して人に従うということがない。
法要に出向いて、その後の饗応の席につく時も、すべてのお膳が人々の前に据えられるのを待たずに、
自分の前にお膳が来ると、すぐに一人で食べて、帰りたくなると一人さっと立って行ってしまった。
斎や非時の食事も、人と同じく時を決めて食べたりはしない。
自分が食べたいときは、夜中だろうと明け方だろうと食べて、眠たければ昼だろうと部屋に籠もって眠り、
どんな大事があっても、人の言うことを聞き入れず、
目が覚めてしまうと、幾晩でも寝ずに心を澄まして詩歌を吟じて歩き回るなど、普通ではない様子であるが、
人に嫌がられることもなく、すべて許された。徳が極みに達していたのであろうか。


ということで、これが『徒然草』の第60段の全文です。

いいでしょう?盛親僧都。

自由すぎるこの生き様、僧侶にしておくのはもったいないような、

普通の社会ではやっていけないから僧侶で正解のような(笑)

僕は、昔B型の人が苦手でした。

血液型と性格を結びつけると怒る人もいるし、たいした根拠はないんでしょうけど、

でも、B型って自由人が多いというのもまた事実のような。

昔は「好き勝手やりやがってコノヤロウ!」っていう感情をB型の人に抱くことが多かったです。

けど、年を取ってきて、今ではB型の人の自由さがかわいく思えてしかたないのです。(女性に限るw

神推し:松原夏海 B型
2推し:梅田彩佳 A型
2推し:増田有華 B型
2推し:大島優子 B型

ね?

 

徒然草~盛親僧都~(1)

 

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