源氏物語~帚木~(10)


上品で女性らしいと思ってみると、そういう人はあまりにも恋愛に臆病で、

しかしそんな人でも調子を合わせているうちに浮ついてきます。

これを女性の難点の第一とするべきでしょう。

家庭内の仕事の中で、いい加減であってはならない夫の世話については、

物事の情趣を知り過ぎていて、ちょっとした機会にいちいち風流を気取り、

そんなに風情を追求しなくてもいいだろうと思いますが、

また一方では、ばか真面目に家事一本槍で身だしなみも気にせず、

美しい所のない主婦がひたすらまんねりな世話ばかりをして、というのもね。

朝出かける前でも、夜帰った後でも、仕事の場や個人的な付き合いの中で目にとまり噂に聞いた人の振る舞いや、

良いこと悪いことなど話したいことはあるものですが、馴染めない人にわざわざ語って聞かせましょうか。

やはり共感してくれる妻とこそ、そういうことを語り合いたいものだ、と思うもので、

微笑ましいこと、涙ぐんでしまうこと、無性に腹が立つことなど、自分の胸の内にしまっておけないことも多くありますが、

理解を示さない妻にどうして言えようか、と思うと背を向けてしまい、

人知れず思い出し笑いをしたり、ああ、とつい独り言を言ったりする時に、

どうしましたか、などと間抜けな感じで見上げているとしたら、そんな妻は残念に決まっています。

ひたすら子どもっぽく、素直な女性をあれこれ自分好みに仕立てていったら、どうして結婚せずにいれましょう。

多少心配な点があっても、改善の余地がある気がするはずです。

しかし、本当に向かい合っている時にはかわいらしさにそんな欠点も許してしまうでしょうが、

離れている時には、しかるべき用事を言いつけ、なにかの折節にやらなければならないことが、

他愛ないことにせよ真面目なことにせよ、

自分では判断できずに深い配慮もないとしたら非常に残念で、その頼りなさはやはり心苦しいでしょう。

また、普段は少しよそよそしくて気に入らない女性が、何かの折に見栄えがするということもありますよ」

などと、ありとあらゆる女性について語るものの、結論を出しかねて深いため息をつくのでした。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


いつ終わるんだい。もういいよ、この女性論。笑

 

夏海ちゃんかわいいよ夏海ちゃん。

優しくて意地っ張りで面白くて不器用で天然な夏海ちゃん。

完璧な人よりもこういう人が飽きなくて良いと思うけどなあ、僕は。

 

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