源氏物語~桐壺~(19)


帝にとっても、源氏の君と藤壺様はともにこの上ない愛情をお注ぎになる方々ですので、

「この若君と仲良くしてやってほしい。あなたは不思議なほどこの子の母親だった桐壺に似ている気がするよ。

失礼だとお思いにならず、かわいがってやってください。

桐壺は顔立ちや目もとなどがあなたにそっくりだったから、あなたと若君は親子にぴったりに見えるのです」

などと申し上げなさるので、源氏の君は幼い心ながら、ちょっとした花や紅葉につけても藤壺様に愛情を示して、

この上なく思いをかけ申し上げなさるので、

弘徽殿の女御様はまた藤壺様とも関係がぎくしゃくしているものですから、

その藤壺様憎さに加えて、元来の源氏の君に対する憎しみもわき起こり、目障りなことだとお思いになっていました。

帝がこの世に並ぶものがないと見申し上げなさり、名高くいらっしゃる藤壺様のご容貌と比べても、

源氏の君の美しさといったら例えようもないほどだったので、

世の人はこの若宮のことを「光る君」と申し上げるようになっていきました。

藤壺様のお美しさも源氏の光る君と並んで素晴らしく、帝のご寵愛もそれぞれに対して格別なので、

世の人は「輝く日の宮」とお呼び申し上げました。

※雰囲気を重んじた現代語訳となっております。


やっと、この若君に「光」という美名を冠した呼び名が設定されました。

長かったですね。ε-(;-ω-`A) フゥ…

藤壺のことを「輝く日の宮」というのは定着していませんね。

それは藤壺という呼び名がしっかりあるからでしょう。

一応、ようやく「光源氏」という呼称ができるようになったので系図を改めて掲載します。

さて、次回は光源氏の元服のシーンです。

ではお楽しみに。

 

<<戻る   進む>>

 

Posted in 古文

コメントは受け付けていません。