源氏物語~空蝉~(4)


光る君は「なるほど、親は格別だと思っているだろうな」と興味深く見ていらっしゃるうちに、

ふと「この上におしとやかな雰囲気を加えたいものだ」と思われるのでした。

この女は才覚がないわけでもないのでしょう、

対局が終わってから、駄目を埋めていく様子に利発さが見えつつ、大きく騒ぎたてるので、

奥に座る女君が静かに落ち着かせて、

「お待ちなさいな。そこはセキでしょう。このあたりの劫を先に数えましょうよ」

などと言うのですが、

「あーあ、今回は負けてしまいましたわ。隅の方も数えなくては。どれどれ」

と、指折り十、二十、三十、四十、とてきぱき数えるところを見ると、

湯桁の数が多い伊予の道後温泉も楽々と数えきってしまいそうに思われるほどでした。

それにしてもやはり品性は少し欠けているようです。

一方の女君は相変わらず袖で口元を覆い隠して、顔をはっきりと見せないのですが、

じっと目を離さずにいると、横顔が何となく見えてくるのでした。

眼は少し腫れているようで、鼻筋も綺麗だというほどではなく、

いかにも年増な感じがして、とりたてて美しいところもないようです。

どちらかと言えば不美人な容貌を、とてもよく取り繕っている様子は、

容貌では勝っている向かいの人よりも、内面では優れているのだろう、と目をとめずにいられません。

向かいの人は華やかな魅力を持ち、美しい容貌を、ますます誇らしく惜しげもなく見せつけるかのように振る舞い、

ふざけて笑っているので、美しいところもよく見えて、

そういう系統の女性として、とても興味を惹くものがあるのもまた事実でした。

※雰囲気をお重んじた現代語訳となっております。


引き続き、空蝉と軒端荻の描写です。

軒端荻の華やかな人柄が際立っていますね。

その軒端荻が碁石をテキパキ数えている様子を道後温泉の湯桁を引き合いに出して喩えていますが、

道後温泉は湯桁の数が多いことで有名だったそうです。(岩波文庫『源氏物語』)

Wikipediaにも同様のことが書かれています。

 

それと、「駄目」「セキ」「劫コウ」と出てきますが、これは囲碁の用語です。

囲碁に対する理解は無なのですが、取りあえず調べました。

 

駄目・・・白黒どちらにも属さない無駄なゾーン。(こちら参照)

セキ・・・お互い手を出すと取られてしまうため手を出せない所。(こちら参照)

劫・・・そこに石を打つと永久に打ち合いが続いて終わらなくなる所。(こちら参照)

 

さて、かつてAKBで『源氏物語』のキャスティングを考えていた時、軒端荻については考えていませんでした。

この感じは誰でしょうね?

派手めの美人で胸元パッカーンて感じが似合う人、っていうとNMBですけど山本彩佳ちゃんかな。

そんな言い方したらファンに怒られそうですけど。(;´▽`A“アセアセ

 

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