古典文法③:丁寧語について


先日、謙譲語について書きましたが今回は丁寧語についてです。

小さい子どもでも使いやすい敬語が丁寧語ですね。

「です」「ます」という表現が代表的な現代の丁寧語です。

 

「知っているか」→「知っていますか」/「知らない」→「知りません」

「来るか」→「来ますか」/「行く」→「行きます」

 

とまあ、小学生でも気軽に使っているように思います。

話し手は丁寧語を用いることによって、聞き手を敬う気持ちを表現することができます。

丁寧語については、先日の謙譲語とは違い、その役割については現代語も古語も同じと言えましょう。

ということで、古典における丁寧語ですが、これは何といっても「侍り」「候ふ」の二つです。

 

方をかへて住み侍りけり。(古今著聞集)

=部屋を変えて住みました。

片時もながらふべしともおぼえ候はず。(平家物語)

=ほんの少しも生きながらえようとは思われません。

 

うん、現代語とほとんど同じじゃん、めでたしめでたし!

・・・とはいかないんですねー、残念。(●´艸`)ブハッ

 

あまり変わらない形で使われている例文を選んだだけです。笑

現代の代表的な丁寧語「です,ます」と、古文の丁寧語「侍り,候ふ」の最大の違いは品詞です。

「です,ます」は助動詞であるのに対し、「侍り,候ふ」は動詞なのです。

 

院などにも、え参り侍らぬなり。(源氏物語)

 

受験生が古文を学習する場合、まずは直訳が基本となります。

そして、英語の和訳と違って、「なるべく語順は入れ替えない」のが原則となります。

この原則に従って、丁寧語を原文の位置のまま訳すとこうなってしまいます。

 

院の御所などにも、参上できませんのである。

 

こんな日本語おかしいだろーーー!(●`・ノдヽ・) バヵャロ-!!

古語では動詞である「侍り」を、助動詞に変換して訳さなければならないのですから、工夫が必要です。

工夫といっても簡単なことです。

ひとまず、丁寧語なかったことにして訳してみます。

 

院の御所などにも、参上できないのである。

 

これを丁寧な表現にして、「です、ます」を日本語として自然なカ所に入れてあげましょう。

すると、

院の御所などにも、参上できないのであります

とか、

院の御所などにも、参上できないのでございます

などという、自然な日本語になりました。

 

ただし、僕の授業で「~であります」と訳すと、ケロロ軍曹というあだ名を付けられてしまうであります。笑


画像:「キャラネット」より

 

そんなわけで、丁寧語は現代語ではなるべく文末の方に来たがる性質があるということでした。

丁寧語を訳すとき、語順は柔軟に考えていこう、ということで今回はおしまいであります。

 

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