枕草子~にくきもの~(2)


前回、清少納言がウザいものに挙げていたのはこんな感じでした。

1)急いでいる時に長話をしかけてくる人
2)墨をすっている時に髪の毛が入ってしまった場合/墨に石が混じっていた時
3)急病人が出て僧侶を呼んだのに、僧侶が眠そうでやる気がない時
4)大したことない人物が得意気に話している時
5)やたら年寄りじみた人
6)傍若無人な人
7)酒に酔ってみっともない振る舞いをする人

今回はどんなのが出るでしょう。


【現代語訳?】

人を羨んで自分の境遇を嘆く人。そういう人って、他人のうわさ話ばかりして、些細なことでも知りたがって聞き出そうとして、それを教えないと恨んで悪口を言うのよね。でもって、ちょっと聞き出したことを前から知っていたことみたいに喋り散らしたりするのよ。超ウザい。

耳を傾けて何か聞こうとしているときに泣き始める子ども。カラスが集まって飛び交い、カーカー鳴いてるのもムリ。

人目を避けてこっそりやってきた人を見つけて吠える空気読まないバカ犬。見つからないように無理矢理な場所に押し込めて必死に隠して寝かせた人がいびきを掻き出した時。また、密かにやって来るっていうのに、なぜか大袈裟な長烏帽子なんかつけて来て、人に見つからないように慌てて部屋に入ろうとして何かにあたってカサッと音を立てちゃうのも超イラッとする。伊予簾を掛けてある所をくぐろうとして音を鳴らすのもあり得ない。簾なんかは、そっと引き上げれば音なんかしないのに、ガサツにあげると、巻きあげる時に芯にする板がぶつかって大きな音が出るのよね。戸を乱暴に開け閉めするのもめっちゃ意味分かんない。少し持ちあげて浮かせて滑らせれば鳴らないのに。襖なんかも、下手に開けるとガタゴト鳴って耳障りだし。

眠くて寝ようとしているときに耳元で蚊がイーーーンて鳴ってずっとつきまとってくるの。小さいくせに、羽風まであるのは何なの?ホンッとムカつくわ。

ギシギシ鳴る牛車に乗ってる人。ひょっとして耳が聞こえないのかしら、って思う。ないわ・・・。自分がそんな車に乗るはめになった場合は、その車の持ち主まで腹立たしくなるのよね。

みんなで話している時に、出しゃばって自分一人でしゃべりまくるやつ。例外なく、出しゃばり行為は子どもでも大人でも超ウザい。

それから、ちょっと来た小さい子どもを可愛がってオモチャか何かをあげると、調子に乗っていっつもやって来ては部屋に上がりこんで散らかしちゃうのも相当ムカつく。

自宅でも奉公先でも、会いたくない人がやって来て、寝たふりをしてやり過ごそうとしているのに、召使いが起こしに来て「いつまで寝てるのかしら、だらしない・・・」と言わんばかりにユッサユッサゆすり起こしてくるの、キレてもいいよね?

新入りが先輩を差し置いて仕切り始めるのも、死刑か死刑じゃないかでいえば、死刑だと思う。

恋仲にある男とか夫とかが、前に付き合っていた女のことを褒め出すのは、過去のことだからとはいうものの、やっぱムカつくわ。まして現在進行形の女性関係だったら、もう、ね。でもね、かえって「上等じゃないの!」って感じで燃えることもあるわよね!爆

くしゃみをした後に呪文を唱える人。そもそも、その家の主人たる男以外が、でっかいくしゃみなんてするなんて考えられないことよ。

蚤もさ、着物の下で踊り歩いて持ちあげるようにするの超ムカつく。それと、犬が一斉に長々と鳴き声を上げるのも、何か不気味で嫌な感じ。

出入り口の扉とか襖とかを閉めない人、ホンットあり得ない。


これでおしまいです。

最後、尻すぼみ感がハンパないですよね。笑

 

清少納言がウザいと感じるもの、どうでしたか?

自分は、分かるわー、って部分と、耳が痛いー、っていう部分が混在しております。

やたらと物音を立てる人って僕も苦手です。

 

ガタンッ、ドタンッ、バタンッ、ギギギギーッ

ウルセエ━━━━( ▼皿▼)=○)Д)゜゜━━━━━!!

ってなる。笑

 

電車で車両を移動するときに、扉を閉める人と閉めない人っていましたよね。

閉めない人は本当にイラッとしました。

ふざけんな、って気持ちから思いきりバタンって閉めることもありましたが、そうすると自分も大袈裟に音を立てていることになるのか。汗

まあ、でも最近の電車の車両は自動的に閉まるようになっていますよね。

日本人らしい?改善だと思います。

海外の電車事情は知らないんですけどね。


【原文】

ものうらやみし、身の上をなげき、人の上いひ、つゆちりのこともゆかしがり、聞かまほしうして言ひ知らせぬをば怨じそしり、また、わづかに聞きえたることをば、われもとより知りたることのやうに、こと人にも語りしらぶるもいとにくし。

もの聞かむと思ふほどに泣くちご。烏の集まりて飛びちがひ、さめき鳴きたる。

忍びて来る人見知りてほゆる犬。あながちなる所に隠し臥せたる人の、いびきしたる。また、忍び来る所に長烏帽子して、さすがに人に見えじとまどひ入るほどに、ものにつきさはりて、そよろといはせたる。伊予簾などかけたるに、うちかづきてさらさらと鳴らしたるもいとにくし。帽額の簾は、ましてこはじのうち置かるる音いとしるし。それも、やをら引き上げて入るはさらに鳴かず。遣戸をあらくたて開くるもいとあやし。少しもたぐるやうにして開くるは、鳴りやはする。あしう開くれば、障子などもごほめかしうほとめくこそしるけれ。

ねぶたしと思ひて臥したるに、蚊の細声にわびしげに名のりて、顔のほどに飛びありく。羽風さへその身のほどにあるこそいとにくけれ。

きしめく車に乗りてありく者。耳も聞かぬにやあらむといとにくし。わが乗りたるは、その車の主さへにくし。また、物語するに、さし出でしてわれひとりさいまくる者。すべてさし出では、童も大人もいとにくし。

あからさまに来たる子ども、わらはべを、見入れらうたがりて、をかしきものとらせなどするに、ならひてつねに来つつ、ゐ入りて調度うち散らしぬる、いとにくし。

家にても宮仕所にても、あはでありなむと思ふ人の来たるに、そら寝をしたるを、わがもとにあるもの、起こしに寄り来て、いぎたなしと思ひ顔にひきゆるがしたる、いとにくし。いままゐりのさしこえて物知り顔に教へやうなることいひ、うしろみたる、いとにくし。

わが知りたる人にてある人の、はやう見し女のことほめいひ出でなどするも、ほど経たることなれど、なほにくし。まして、さしあたりたらむこそ思ひやらるれ。されど、なかなかさしもあらぬなどもありかし。

はなひて誦文する。おほかた、人の言えの男主ならでは、高くはなひたる、いとにくし。

蚤もいとにくし。衣の下にをどりありきてもたぐるやうにする。犬のもろ声に長々と鳴きあげたる、まがまがしくさへにくし。

開けて出で入る所たてぬ人、いとにくし。

 

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